介護の現場では、事故が起きたあとに「事故報告書」を書きます。何が起きて、その時どう対応して、次はどう防ぐのか。それを1枚にまとめて残す書類です。OMO VILLAGE摂津では2026年8月、この報告書のやり取りを、現場がパソコンを開かずに終わる形に作り直しました。作るときに一番時間をかけたのは、機能を増やすことではありません。どこを自動にして、どこを人が決めるのかの線引きでした。
報告が出てから、紙になるまで
事故に対応した職員が、スマートフォンから報告を入力します。項目は全部で38あり、いつ・どこで・何が起きたか、その時どう対応したか、ご家族や関係機関にどう連絡したか、なぜ起きてどう防ぐかまでを埋めていきます。
報告が出ると、施設長のLINEに内容の全文が1通で届きます。読んで気になった項目があれば、その番号を返します。「7」だけでも、「7 誰がどこで見つけたか書いて」のように指摘を添えても、どちらでも受け付けます。

報告を書いた職員には、指摘された項目だけが1問ずつ届きます。今その項目に何と書かれているかと、施設長からの指摘が並んで表示され、そこに直した文章を送れば修正が反映されます。38の項目の中から直すべき3か所を探し直す作業はありません。施設長が最後に「確定」を返すと、行政への報告に使える様式の1枚が自動で作られます。

この流れの中に、現場がパソコンを開く場面は1回も出てきません。介護の仕事は、事務所の机に座っている時間の方が短い仕事です。パソコンの空きを待っている間に報告が後回しになるなら、それは書く人の問題ではなく、しくみの問題だと考えました。


「書き直された」と「直った」は違う
作っている途中で一番迷ったのが、指摘した項目が直ったかどうかを、どうやって扱うかでした。修正されたかどうかを自動で判定して、済んだ印を付けてしまう方が、画面はすっきりします。ただ、それはやめました。
機械が確実に言えるのは「書き直された」までです。文章が前と変わったかどうかは判定できます。けれども、その内容で報告として十分かどうかは判定できません。「今後は気をつけて見守る」と書かれた再発防止策が、書き直されて少し長くなったとして、それで十分かを決められるのは、その入居者様の状態と現場の人の動きを知っている施設長だけです。
だから施設長の画面には「直っています」とは出しません。「まだ書き直されていない項目が何か所ある」とだけ出します。判断は人に残して、機械はその手前で止まる。自動にしたのは、38項目から該当箇所を探す作業、報告の番号を覚えておく作業、決まった様式に転記する作業です。文章の中身がこれで足りているかどうかを、機械に判定させていません。
事故報告書は、書いて出せば終わりの書類ではありません。次に同じことが起きないようにするための材料です。材料として使えるかを決める工程を自動化してしまうと、書類は早く揃うのに中身が薄くなります。それでは事故報告書を作った意味がなくなります。
働く人にとって、何が変わるのか
報告を書く職員にとっては、書いたあとのやり取りが軽くなります。指摘は具体的な項目に付くので、何をどう直せばいいのかを推測する必要がありません。修正はLINEの中で終わり、書類を探したり、事務所のパソコンが空くのを待ったりもしません。
ご家族にとっては、事故のあとの報告が早く、抜けの少ない形で整うことにつながります。誰が内容を確認するのかが決まっていて、確認した記録も残ります。
このしくみは2026年8月に動き始めたところです。これから実際の報告を重ねる中で、聞き方の順番や文言は現場の声で直していきます。OMO VILLAGE摂津では、こうした現場の手間を、現場の人の意見を聞いて作り直す取り組みを続けています。
eight-hospitalityでは、記録や報告のしくみを現場の職員と一緒に作り直しています。2027年2月に開設予定のOMO VILLAGE亀岡では、オープニングスタッフの募集を始めています。9月5日には就職説明会も開きます。介護の仕事に関心のある方は、ぜひ一度見にきてください。

